あのさ、なんで僕の名前？

ケント君こそなんで名前、、、？

 

大学では話したことはなかったし名前も知らないけど、いつも図書館の中庭で彼女は本を読んでいた。きっとお気に入りの場所なんだ。僕は反対側のベンチで背を向けて座るようにしていた。そんな日は何日もあったが偶然じゃなくて、正確には僕が彼女を見つけてそうしていた。

 

ある時、僕と彼女は廊下ですれ違う。もちろん僕は彼女を見ていたが、彼女は気にしていない様子だった。彼女は小脇に本を抱えていて黒い背表紙の本だった。夕方、図書館に行ってみるとさっきの黒い背表紙の本。見覚えのある本だった。とっさに図書カードを見てみる　14 Nov Kent  25 Nov Angelina あの子はアンジェリーナって名前だ。僕がこの間まで読んでいた本で次に借りたのは彼女だった。

 

僕はアンジェリーナの返却する本を待った。白の背表紙　1週間で出来る彼のセーター、次は緑の背表紙　かぼちゃのスープと動物クッキー　次は黄色の背表紙　手作りリーフとチーズケーキ。カードにはアンジェリーナに続く様に自分の名前を書いた。どうしてだろう、気づいていないだろうだろうけど、同じカードに名前が乗っていることが少しだけ嬉しかった。

 

あるとき、ふと気になって緑の背表紙の本を手に取った。確かすこし前に読んだ本だ。カードを確認してみると15 Mar Kent  21 Mar Angelina え？どういう、、、確かこの前は紺色の背表紙の、、11 Feb Kent  20 Feb Angelina 　僕の名前の後にアンジェリーナ。あの黒の背表紙の本もそうだった。偶然じゃない、、、のか、、、

 

そこの、きみ、

 

職員のウィリアムが呼んでいる。

僕のことで間違いないが、カウンターの上のブランケットを指さしている。

女の子がよく使っている貸出用のもので、使ったことがなかった。

分からずカウンターまで行くとウィリアムは中庭を指さした。

これを、、、わたせ？？

ウィリアムは僕を試すように微笑んだ。

 

あの、ねえ　これ

あ、あたし？

あ、じゃあ

あ、ありがとう

 

僕とアンジェリーナが会話をした、正確にはあいさつをしたはこれっきりだった。

確かに期待もしたし、高鳴るものがあった。ウィリアムは気づいていたのか？あの変な微笑は何か男の下心を表していた。

それでも僕にとって大きな変化はまだやってこなかった。

 

聞いてる？

え？僕はコーラを飲んでごまかした。

あのさ、図書館で借りた、あの黒い背表紙の本の話覚えてる？ケント君も読んでたでしょ？

やっぱりだ。間違いない。同じ本を読んでいる。

あのお話、どうだった？私すごく面白かった。

Hajime&Tango ?

そうそうジーパン屋さんとクロネコの話。

アイロンでパンが焼けるかっておはなし。

僕もお気に入りだった。

工場で赤い糸見たら告白したくなるんだよね。

あ、、、

 

これ覚えてる？

アンジーは大きなバックからブランケット取り出した。

これって、、、

そう、大学の図書館にあったやつ。

いつも使ってたよね。

いつも見てたもんね。

い、いやその、、、

一度持ってきてくれたことがあったね。何か言ってくれるのかと思ったけど。

いや、それは、、

ウイリアムズさんっていたでしょ。実はケントくんが読んでる本のことこっそり教えてもらってたの。

なんで？

だってケントくんの選ぶ本って大きな夢のお話だったり、自由って感じのお話が多かったから。

 

 

好きだったの。

 

 

え？

男の子の世界って感じ。

 

このブランケットはなんで持ってるの？

私のお気に入り。このピンクが好きなの。

知ってるよ。

 

実はウィリアムさんにお願いしたの。これくださいって。そしたら、卒業のお祝いにってプレゼントしてくれたの。

ねえ、ちょっと広げてみて。

うん。これさ、図書館のより大きくない？

 

そうなの、AVEC SIZE って書いてあるの。

 

 

ねえ、ケント君　アベックしてよ。

 

 

 

 

 

というわけで、ケントとアンジーのブランケットが新発売です。

誰かと使いたくなったり、彼女にそっと渡したり、アベックサイズとハーフサイズでご用意いたしました。

お馴染みの柄ですが、ブランケットにするために特別に起毛加工をいたしました。

クリスマスには間に合わず、ちょっとだけ残念ですが、予約販売中です。

商品の詳細、お求めはこちらからよろしくお願いします。

 

また、開発にはいろんな経緯があって、お時間のある時にご覧ください。

TCB Jeans とのコラボ動画はこちらから。

ブランケットの紹介動画はこちらでどうぞ。

 

それでは、また。

戸谷より